『親指こぞうニルス・カールソン』(岩波書店1974)
著者:アストリッド・リンドグレーン
挿絵:イロン・ヴィークランド
訳者:大塚 勇三
10の短編が納められた本である。
「親指こぞうニルス・カールソン」が大好きで、子供のころ何度もわくわく、どきどきしながら読みふけっていた。
もえのこりのマッチ棒が薪になり、小さなミートボールやパンや干しブドウが巨大な食べ物になる、使い古しの歯ブラシが掃除ブラシになり、フランネルの切れ端が掛布団になる。人間の日常生活の品々が、すごく価値あるものに変わるのが、魔法のように感じていたのかもしれない。
挿絵もものすごく好きだった。ベルティが上の階から、いろんなものをニルス・カールソンの家に運び込んで、2人が生活のととのった部屋でくつろいでいる絵、二人で大きな肉団子を両端から食べている絵、歯ブラシで床をおそうじている絵など、挿絵は余すところなく、作品の世界を伝えていた。
(読了:2024.4.20)