著者:ポール・ギャリコ (1897-1976)
訳者:亀山龍樹 (1922-1980)
絵: 上田とし子(1917-2008)

この本を手にとったのは、幼稚園の時で、文字は多すぎて読めずに、もっぱらぺらぺらと絵を眺めていた。絵本のように接した本の一つ。
講談社のフクロウのロゴも、よく覚えている。
ハリスおばさんは、ロンドンの通いの家政婦さんで、しっかり者で、やもめで、つましく一人で生活をやりくりしている設定で、ディオールのドレスに憧れる。
ハリスおばさんと、バターフィールドおばさんの友情もとてもよいです。
絵は上田とし子さんで、今みると、とてもポップな、欧米人のような感覚の挿絵だと思う。
笑顔で、躍動的で、明るいエネルギーで一杯の、上田とし子さんの描くハリスおばさんが、私にとってのハリスおばさんのイメージである。
とてもチャーミングな本で、人生に何が大事であるかが、書かれている。
まっすぐな勇気と快活さ。それで魔法が起こる。
ポール・ギャリコの著書であったことも、今回初めて知る。
天性のストーリーテラーで、ウイキペディアによれば、本人いわく、
「私は物語を語るのが好きなだけで、私の書いた本はみんなお話を語っているだけだよ。…. もし私が2,000年前に生きてたとしたら、洞窟住居を渡り歩いて、言うんだろうな『やあ、入っていいか?腹が減っているんだ。食べるものをくれよ。そしたら、代わりに面白い話をしてやるよ。昔々、二匹の猿がいたとさ』といった具合で、彼らに2人の洞窟に住んでたひとの話をしてやるのさ。」

ポール・ギャリコ - Wikipedia
(読了日:2025.7.27)