『風にのってきたメアリー・ポピンズ』(岩波書店1954)
著者 P.L.トラヴァース (1899-1996)
挿絵 メアリー・シェパード (1909-2000)
訳者 林 容吉 (1912-1969)
姉が買ってもらって、ずっと家の本棚にあったけれども、なかなか読む気になれない本だった。
読んでみたら、ものすごく面白くて、順々にシリーズを買ってもらった。
シリーズが終わってしまうのが寂しかった。
挿絵がすばらしい。魔法に満ちていて、物語の世界をあますところなく、伝えてくれる。
おしゃれで、つんとすました、ナニーの女性が、風にのってやってきて、風にのって去っていく。
やたらべったりと優しいとか、表だって愛情を示すわけではないキャラクターも新鮮だった。
メアリー・ポピンズは、いつも最後にいなくなってしまうこと。
季節限定で、有限で、ずっとは一緒にいられないこと。そういう厳しさがあった。
でも今読むと、メアリー・ポピンズは永遠であることも、書かれていた。
日常生活の中から、不思議な世界にもぐりこんでいく。
おとなになっても、そうした、くるっと魔法がかかる日常があってほしいと思っている。
(読了:2023.1111)