『ゆかいなホーマーくん(岩波書店・1951)』
著者・挿絵:ロバート・マックロスキー(1914-2003)
訳者:石井 桃子(1907-2008)
“Homer Price(1943)”
Author and illustrator: Robert McCloskey
ホーマー君が大量の製造中のドーナツに囲まれて、ドーナツを食べている表紙が大好きだった。子供の当時は、ドーナツなんて、めったにあるお菓子ではなく、また、お菓子を食べ放題(『ヘンゼルとグレーテル』もそう)は、子供にとって夢のような話だった。
挿絵の、生き生きとした躍動感も魅力だったのかと思う。ひょっとすると、アメリカに移民したいと思う人達も、こうした気持ちを持つのかもしれない。
今読むと、コーヒーショップやドーナツ、ヒーロー、広い郊外、農場、自動車などが満載で、アメリカ的なものをビシバシ感じる本である。
自由で伸びやかなホーマー君の物語は、第二次大戦のさなかの1943年の出版である。
(映画『カサブランカ』が、1942年の作品だと聞いた時と似たような驚きである。)
この本が、石井桃子さんの翻訳であるといったことも、当時はその意味すらわからなかった(母に薦められた『ノンちゃん雲に乗る』は読んでいたものの)。
(読了:2023.10.20)
※ホーマー君の街:オハイオ州センターバーグ郊外(GoogleMapより)