『床下の小人たち(岩波書店・1956)』
作者:メアリー・ノートン(1903-1992)
表紙:ポーリン・ベインズ(1922-2008)
挿絵:ダイアナ・スタンレー(1909–1975)
訳者:林 容吉 (1912-1969)
The Borrowers(1952)
Author: Mary Norton
Jacket illustration: Pauline Baynes
Inside illustrations: Diana Stanley
大学生の時、家庭教師をしていた小学生が、通信教育の月の指定図書として読んで、国語のテストを受けていたのがこの本である。国語のテストというと、日本の小説や物語がほとんどなので、当時は不思議な気がした。
今読むと、日本語が素晴らしく、やはり岩波である。
また、ホミリ―やアリエッティ、ポッドの生活感覚や倫理感がしっかりしていて、こうしたベースのある世界であったことを理解する。
思いおこせば、子供のころ、小人が出てくる物語がとても好きだった。『親指こぞうニルス・カールソン』(リンドグレーン・岩波書店)など、何度も読んだ。人の使う品々や食物が、とたんに巨大なものになり(肉団子や、石鹸ばこ等々)、それらを小さい人達の生活に使う工夫にわくわくした。
これは小さい人達が、実際に世界のどこかにいると、どこかで信じていたことも大きいと思う。
(読了:2023.8.9)